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システム・インテグレーターの産業組織と日本

産業組織論が応用できないかと、システム・インテグレーター産業(SEの産業)の構造を調べていた。結果、この産業はかなり大きな産業にも関わらず、世間に明らかになっていないその恐るべき実態が次々と明らかになった。


バブル崩壊後、日本の経済が他の先進国や新興国に比べ勢いが欠けるのは、林文夫らの実証研究の結果、日本の全要素生産性(TFP)、特にサービス産業(ホワイトカラー)の生産性が低迷しているからだということがよく言われている。生産性を向上するためには、各企業においてIT・システムを更に活用し、仕事の効率性を向上させなければならない。そのためには、そもそも効率の良いシステムを設計する必要がある。そういったことに取り組んでいるのが、システム・インテグレーターと呼ばれる産業である。


市田ゼミの卒業生でも結構な数が関わっている産業だけど、ある先輩が言っていた「日本のシステムは1/10の賃金で作れるインドよりも悪い」というのがよく分かる。別の文献でも全く同じ話が書いてあったので、おそらく業界ではよく言われる本当の話なのだろう。


日本のシステム産業は、「ITゼネコン」という言葉があるように、少数の大企業の寡占の下に、入札を排除された多くの下請け企業が存在する。悪名高い建設産業と同じである。ただ、下請け丸投げの弊害である雇用問題(システム会社を名乗りながら実態は人材派遣会社など)は専門外の話なので今回は述べない。以下は、主に水平分業の弊害である。


日本のシステム産業で有名なのはもともと国営企業であったNTTデータを始めとして、新日鉄ソリューションズ、住商情報サービス、日本総研や大和総研のようなどこかの企業グループに属しているところの他に、独立系の企業もある(ちなみにこのリストアップは恣意的である)。これらの企業は、内外資のコンサル会社と連携を取っていることが多い。また、会社の中に、コンサル部門を抱えているところもある。


そして、建設産業と同様に独占禁止法違反を繰り返しているようだ。例として、1円で落札という、いまどき建設ゼネコンでもやらないような廉価入札がよく見られる。建設産業と違うのは、NTTデータ1社がその寡占市場(1次受け市場)のかなりを占めているということである。


かの有名な消えた年金問題の原因はシステムがクソだったわけだが、社会保険庁の職員の運用だけではなく、システム設計自体もかなりまずかったようだ。


そのシステムの大半を作ったのがNTTデータで、それに費やした税金・保険料はこれまで\100000・・・・、なんと1兆円以上。


年金自体が莫大な資産高があるので、1兆円かけて、1兆円の収入があったなら、別にいいかもしれないが、むしろ1兆円かけて1兆円以上の損害を与えている可能性が高いくらい。しかも、悪質なのが、厚生労働省や社会保険庁(所管省庁の総務省ではない)の役人が大量に天下りをしていること。


嗚呼、日本人はなんて大人しい民族なんだ、と思う以前にそもそもこんな話はほとんど報道すらされていない。ここまで、寡占をされると、テレビをはじめマスコミ業界もシステムは不可欠だから、もしかしたらなんらかの仕返しを恐れているのかもしれない。


このように、もともと国営企業であったことを生かして、かなりの公共事業を受注している。国会でもたまに目にする。ここまでくれば、社員はよほどいい思いをしているのかと思えば、上場による有価証券報告書では平均年収は業界6位でたいしたことがない。縦割り体質で社内効率が悪いのか、天下り役人にかなり吸い取られているのだろう。


ちなみにNTTデータばかり、ここまで悪く言っていると個人的に後々問題なので(笑)、一応、言っておくと年金システムでは他に日立システムが4000億弱の受注をしている。ただ、この2社で受け入れた天下りの数は15人と驚くべき数に上る。また、天下り非難をすると、あたかも役人が全て悪人のように見えるが、経済産業省がこのシステム産業の構造に対し、好戦的に問題提起していることを付記しておく。


NTTデータに限らず、最初のインドの例にあるように、この産業はイメージと違って非効率な部分が多い。


システムなのでこれからの需要が見込めるから成長産業と思いきや、このままではイノベーションの以前の訳の分からないことをしている間に、現時点で差がつけられているインドや欧米に対して、取り返しのつかないくらいの状況になってしまう。


そうなってしまえば、せっかく伸びる需要も恩恵も海外に取られてしまうだろう。今現在の製薬産業のように。


ちなみに、システム・インテグレーターの産業自体が、日本特有の業態である。
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